原木栽培って?

昭和17年頃、叶X産業の先代社長森喜作さんが椎茸の人工栽培を確立されました。それまでのしいたけ栽培方というのは、クヌギやコナラの木を1メートル程に切り、その木の肌にナタで切り込みを入れて自然界に浮遊している椎茸菌を付着させる方法でした。もちろん確実に椎茸菌が付着するとは限りません。ココに森喜作さんが椎茸菌の人口培養に取り組むきっかけとなった話があります。(以下文・叶X産業HPより抜粋)

我農夫の祈に開眼す

おおいた、あそ一九三三年のこと、大分県のしいたけさいばい地、阿蘇山の西ふもとにこうよう ある山村でのできごとである。この辺の農家は田畑にとぼしいので、広葉樹・しんよう樹・針葉樹の森林を利用して、炭焼きや、しいたけさいばいを副業にして、 かろうじてくらしをたてていた。      
 こすぎ林の木立ちを通して朝日がきらきら光を投げている下に、一万本近い、長さ一メートルほどのまるたぼうが組みならべてあった。その前に、 みすぼらしい身なりのひとりの農夫が、手を合わせて拝みながらつぶやいていた。
 

「なばよ出てくれ。おまえば出んば、おれが村から出て行かんばならんでな。」


 このいのりをふと聞きつけて、じっと見つめている大学生があった。森喜作さんである。森さんは、農村経済の実態調査のためこの部落をおとずれ、海抜五、六百メートルの所で、リュックサックをおろした。額のあせをぬ ぐって、ふと林の中に目を移したとき、この情景を見たのであった。  森さんは、ふしぎに思って農夫に事情をたずねた。

徳川時代の初め、九州の人、炭焼きげんべえが、炭材として切ったなら の木にたくさんのしいたけがはえたのを見て、人工さいばいを思いついた。 ならやくぬぎのまるたの表皮になたできざみ目を付け、数千本もならべてほうっておくのである。このまるたをほだという。すると、どこからともなく風に乗って飛んで来たしいたけの胞子がほだのきざみ目に付いて、二、 三年もするとしいたけが出てくる。

 ところで、ほだ材は直径五センチメートルから十五センチメートルほどのならやくぬ ぎを、長さ一メートルに切ったまるたである。これを、そのままかまに入れて焼くと木炭になる。そこで、原木を焼いて木炭にするか、ほだにしてしいたけをさいばいするか、どっちがもうかるかが村民の頭をいためるところだ。
原木一石からは木炭二俵半が焼ける。ねだんは木炭一俵が、ほししいたけにして三八〇グラムくらいだ。ほだ材にして約一 キログラム以上のしいたけが採れればいいわけだ。しかし、木炭とちがっ て、ほだ材は数年たたないとしいたけが採れないから、資金をねかさなくてはならない。おまけに、運は風にまかせろという、いわば危険な「かけ」 である。
実際には、原木一石から七・五キログラムのほししいたけが採れることがある。そのときは大もうけができるけれど、ほだに種が付かなかったらたいへんである。貧しい農夫は山のような借金で、税金はもちろん、米を買う金さえ無いようになる。村をにげ出し、一家がばらばらになるというような悲げきが起こるかもしれない。農夫がいのっていたのは、こうしたことがあるからであった。

 森さんはこれにむねをうたれた。一生をしいたけと共に生きようと決心した。そして、このような投機的な方法でなく、確実に収穫できる道を考え始めた。それが農民の貧しさを無くす一つの方法と考えたからである。

 以来十年間、森さんは研究に熱中した。そして一九四三年、ついにその望みを達した。それはたねごまの製造であった。たねごまをほだに打ちこみさえすれば、確実に、原木一石から五、六キログラム以上のほししいたけが採れるのである。

 
この農夫と森さんの出会いがなければ今日の椎茸栽培もどうなっていたか分りません。投機的なやり方ではなく、確実に椎茸菌を木に植えつける種駒の方法はこうやって確立されました。今現在の原木栽培もほぼ変わらずこの種駒によって植菌しています。(最近オガクズに椎茸菌をいれ形を種駒形に固めた成型駒と言う物があります)

原木栽培の流れ

原木の伐採 玉切り 植菌
仮伏 本伏 浸水
収穫 出荷 家庭
●まずはホダ木となる原木の伐採を行います。昔ながらのやり方では、木を切り倒したら1ヶ月ほどそのままの状態で木を乾燥させます。よく葉枯らしと言われる行為です。当組合は倒したら即1メートルの長さに切ります(伐採・玉切り)
●玉切りした原木にドリルで穴を空け種駒を打ち込んでいきます。(植菌)
●金槌で穴に種駒を打ち込んでいきます。成型駒の場合は手で押し込みます(植菌)
●植菌した木(ホダ木)を椎茸菌が木によく活着(根付く)するようにかり伏せします。当組合はハウスの中で湿度を与えながらかり伏せします(仮伏)
●椎茸菌が確実に活着したら、椎茸菌がホダ木の中に蔓延しやすい環境に移します。(本伏)
●ハウス栽培の場合は右の写真の様に浸水作業を行います。当組合は自然栽培なので浸水作業を行わないため画像がありませんでした。写真は福島県の添田農園さんの浸水の様子です。

●後は刺激を受けたホダ木から7〜10日くらいで椎茸が収穫できます。ハウス栽培の場合は収穫後、ホダ木を休養させてまた浸水・収穫となります。

 

原木栽培の特徴

原木栽培は収穫までに2、3年かかります。原木栽培は手間がかかりますが、厚みのある味の濃いシイタケが採れます。シイタケが天然に存在するのと非常に似た方法であるということです。つまり、味も香りも自然のシイタケとほとんど同じものができます。
ここに不思議なことがあります。
しいたけの限界温度は32度。
試験管の中では、35度を超える気温が続くと死んでしまう椎茸菌もでてきます。
しかし・・・原木栽培のしいたけはそう簡単には、死にません。
生育温度をはるかに超えても、原木栽培のしいたけは簡単には死なないのです。
しいたけは悠久の時間の中、原木の中で生育するように進化してきました。
しいたけにとって、原木こそが最高の住みかなのでしょう。
温室育ちと雑草の違いでしょうか?

 

戻る 問い合わせ